法律税務情報
最高裁判所第3小法廷判決 平成22年6月1日
<事案>
1 土地の売買契約締結
2 1ののち、環境基本法16条1項に基づき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められた平成3年8月環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準について)の改正により土壌に含まれるふっ素についての環境基準が新たに告示された。 さらに土壌汚染対策法及び土壌汚染対策法施行令が施行された。同法2条1項は,「特定有害物質」とは鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって,それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう旨を定めるところ、ふっ素及びその化合物は同令1条21号において,同法2条1項に規定する特定有害物質と定められた。
3 2ののち本件土地に基準値を超えるフッ素が含まれていることが判明
<判旨>
「売買契約の当事者間において目的物がどのような品質・性能を有することが予定されていたかについては、売買契約締結当時の取引観念をしんしゃくして判断すべきところ、前記事実関係によれば、本件売買契約締結当時、取引観念上、ふっ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されておらず、被上告人の担当者もそのような認識を有していなかったのであり、ふっ素が、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるなどの有害物質として、法令に基づく規制の対象となったのは,本件売買契約締結後であったというのである。そして、本件売買契約の当事者間において、本件土地が備えるべき属性として、その土壌に、ふっ素が含まれていないことや、本件売買契約締結当時に有害性が認識されていたか否かにかかわらず、人の健康に係る被害を生ずるおそれのある一切の物質が含まれていないことが、特に予定されていたとみるべき事情もうかがわれない。そうすると、本件売買契約締結当時の取引観念上、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されていなかったふっ素について、本件売買契約の当事者間において、それが人の健康を損なう限度を超えて本件土地の土壌に含まれていないことが予定されていたものとみることはできず、本件土地の土壌に溶出量基準値及び含有量基準値のいずれをも超えるふっ素が含まれていたとしても、そのことは、民法570条にいう瑕疵には当たらないというべきである。
以上
東京地裁平成10年4月14日 判例タイムズ1001号267頁
<事案>
1 建物の賃借人について、会社更生手続開始の申立がなされ、会社更生法39条に基づき弁済禁止の保全命令が発令。
2 賃貸人が未収賃料について催告。
3 保全管理人は弁済禁止の保全命令があることを理由として、支払拒絶。
4 賃貸人、保全管理人に対し、解除の意思表示
<判旨>
会社更生法39条の規定に基づき債務弁済禁止の保全処分が命じられたときは、これにより会社はその債務を弁済してはならないとの拘束を受けるのであるから、右保全処分前に生じた賃料の未払賃料の支払を求める催告が保全処分後にあった場合には、会社はその債務を弁済してはならないのであり、したがって、会社が右催告に応じて支払をしないことに違法性がないから、賃料の支払の遅滞を理由とする賃貸借契約の解除の意思表示をしても、契約解除の効果は発生しない。
債務弁済保全処分が命じられる前に、既に賃料の不払が賃貸借契約上の信頼関係を破壊する程度に達しており、賃料支払の催告をすることなく契約解除をし得る場合には、Xは保全処分又は更生手続開始決定後であっても、保全管理人又は更生管財人に対し、契約解除の意思表示をすることにより、賃貸借契約を解除することができる。
【論点】
第三債務者である勤務先Aが、仮差押命令の送達を受けた時点で、仮差押えの対象となった退職金債権の弁済のために取引銀行Bに対し先日付振込みの依頼をしていた場合において,上記送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することはできるか?
【事案のポイント】
平成13年12月26日 A、債務者の退職金1138万0800円をB銀行のオンラインシステムで送金手続
平成13年12月27日午前11時ころ 債権仮差押命令、Aに送達。なお、同日Aの最終営業日であり、修 行予定時刻は午後0時15分
平成13年12月31日 債務者退職。
【判例】(最高裁平成18年7月20日、判例タイムズ1222号86頁)
判例は、民法481条1項の解釈として、「取引銀行に対して先日付振込みの依頼をした後にその振込みに係る債権について仮差押命令の送達を受けた第三債務者は,振込依頼を撤回して債務者の預金口座に振込入金されるのを止めることができる限り,弁済をするかどうかについての決定権を依然として有するというべきであり,取引銀行に対して先日付振込みを依頼したというだけでは,仮差押命令の弁済禁止の効力を免れることはできない。」として、弁済の効力を認めた原判決を破棄することとした。 なお、具体的事情の下において、第三債務者である勤務先Aが本件仮差押命令の送達を受けた時点で人的又は時間的余裕がなく振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情があったかどうか等について更に審理を尽くさせるため本件は原審に差し戻された。
【参照条文】
民法 第481条
1 支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
判例タイムズ1256号175頁
Q (事案を単純化します。)Aが子Bに対しAに属する財産を相続させるとの遺言がしたところ、Bが死亡し、その後にAが死亡した。その場合、Bの子CはBを代襲相続したとして、他の受遺者に対し、自己の相続分を主張できるか?
A 肯定
なお、現在上告中であり、最高裁の判断が待たれます。
<論点>
建物を新築した者から購入した者が、建物のひび割れ、鉄筋の耐力低下等の瑕疵に基づいて損害を被った場合、建物の設計者、施工者又は監理者は不法行為に基づく損害賠償義務を負うか?
<判旨>
建物の建築に携わる設計者、施工者及び監理者(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮するべき注意義務を負うと解するのが相当である。そして設計者・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うと解するべきである。
(最判平成19年7月6日 判時1984-34)
大阪高裁平成19年1月30日 金融商事判例1263-25
<事案>
金融機関が弁護士法23条の2に基づく照会または裁判所による調査嘱託に対する報告を拒否したところ、 弁護士照会または調査嘱託をした者が金融機関に対し不法行為に基づく損害賠償請求をした。
<判旨>
●結論
損害賠償請求は認められない。
●理由
金融機関は弁護士法23条の2に基づく照会または裁判所による調査嘱託がなされた場合には、 顧客のプライバシーや顧客との秘密保持契約にもかかわらず報告をするべき公的義務を負う。
しかしながら、上記は公的義務であって弁護士照会や調査嘱託を利用した弁護士や依頼者個人に対する関係での義務ではなく、 個々の弁護士や依頼者がその権利として金融機関に対してその回答を求める権利を有するものではない。
<コメント>
上告・上告受理申立中。
<参考>
弁護士法23条の2
1 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、 公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があった場合において、当該弁護士会は、 その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基づき、公務所又は公私の団体に対して照会して必要な事項の報告を求めることができる。
民事訴訟法186条
裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署または学校、商工会議所、 取引所その他の団体に嘱託することができる。
以上
最高裁平成18年9月28日 金融商事判例1262-42
<事案>
商法(平成17年法律第87号による改正前のもの) 294条1項に基づき検査役選任を申請した時点では総株主の100分の3以上を有していたが、 新株発行により総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合における申請の適否

<判旨>
申請人の適格を欠き、不適法。
<参考>
商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)294条
会社ノ業務ノ執行ニ関シ不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アルコトヲ疑フベキ事由アルトキハ総株主ノ議決権ノ百分ノ三以上ヲ有スル株主ハ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ検査セシムル為裁判所ニ検査役ノ選任ヲ請求スルコトヲ得
最高裁平成18年11月14日 金融商事判例1260-21
<事案>

1 B銀行、主債務者Xに対し、金銭を貸付。その際、物上保証人AはB銀行のため抵当権を設定、 保証会社Yは主債務者Xの委託を受けて保証。
2 主債務者X、延滞
3 B銀行、物上保証人Aから設定を受けた抵当権を実行(不動産競売を申立)。
4 3の競売開始決定、主債務者Xに送達。
5 B銀行、保証会社Yに対し保証債務履行請求。保証会社Y、B銀行に対し保証債務履行
6 保証会社Y、B銀行から主債務者Aに対する抵当権の移転の付記登記経由し、差押債権者の承継を執行裁判所に申出。
<判旨>
上記事案においては上記の承継の申出について主債務者に対し民法155条所定の通知がなされていなくても上記の代位弁済によって保証人Yが主債務者Xに対して取得する求償権の消滅時効は、 上記承継の申出のときから上記不動産競売の手続の終了にいたるまで中断する。
<参考>
民法155条 差押え、仮差押または仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなえれば、 時効の中断の効力を生じない。
平成19年1月30日 東京高裁判決 金融商事判例1260-11
<事案>
1 A、Yに対し貸金債権56億円、担保としてAとYが共有する土地(本件土地を含む。Yの共有持分10分の8)のうち、Yの持分について根抵当権設定。なお、この金銭消費貸借契約には以下の増担保特約あり。
「借主または連帯保証人について第4条に掲げる事実が発生し、または発生するおそれがある等信用状態が悪化した場合、または前項により提供した担保について滅失または価額の値下がり等のため担保が不足した場合等、貴社が債権保全のために必要と認めるときは請求によって直ちに貴社の承認する担保若しくは増担保を差し入れ、または連帯保証人をたてもしくはこれを追加し、または債務の一部もしくは全部を弁済します。」
2 本件債権、AからB、BからXと譲渡。
3 X、上記土地の10分の2持分を保有していたところ、X,Y間の共有物分割裁判により、本件土地の全部をYが取得することとなった。
4 本件土地については1のとおり抵当権が設定されていたが、Xは、Yに対し本件土地について以下の仮登記仮処分命令を得た。
(1)登記の目的:抵当権設定仮登記
(2)原因:平成2年4月2日金銭消費貸借金42億5000万円のうち金3億円
(3)債権額:3億2000万円
(4)利息:年8.5%
(5)損害金14.6%
(6)設定者Y
<請求>
上記4の抵当権設定の本登記手続をせよ。
<判決>
●結論
Xの請求を認めた原判決に対し、原判決を取り消し、Xの請求を棄却。
●理由
1 本件増担保特約はYが為すべき行為として多様な行為を列挙。そのうち債務の弁済については担保の設定とは異質。また、特約には連帯保証の追加第三者所有物への増担保設定などXとYとの合意のみでは実現できない行為も含まれている。
2 Yの所有物への増担保についても対象物件、担保の種類、内容等設定される増担保等と特定するべき事項について定めがない。また、本件の増担保として特定の不動産に抵当権を設定することが予定されていたと認めるに足りる証拠もない。
3 よって、本件増担保特約によって、Xの請求のとおりの増担保等が設定される形成権がXに付与されたものと解することはできない。
以上
最高裁判決 平成18年9月4日 判例時報1952-36
<事案>
1 夫B、精子を冷凍保存
2 夫B、死亡
3 妻A、1の精子を用いて体外受精
4 2の599日後、妻AはXを出産
5 X、Yに対し、Bの子であることについて死後認知を請求
<判決>
●本件においては死後認知は認められない。
●理由
以下のとおり法律上の親子関係における基本的な法律関係が生ずる余地がなく、親子関係法制が想定しないものである。よって、立法によって解決するべき問題である。
1 死後懐胎子と死亡した父との関係においては、当該父は死後懐胎子の親権者となる余地がない。
2 死後懐胎子は当該父から監護、養育、扶養を受けることはあり得ないこと
以上
東京地裁判決 平成18年8月31日 金融商事判例1251-6
<事案>
1 X、Yに対し建物をマスターリース
(1)マスターリース賃料ははサブリース賃料の80%相当とする(賃料連動条項)。
(2)空室時のマスターリース賃料は直前のサブリース賃料の60%相当とする。
2 Y、Z(転借人)に対し、3ヶ月間のフリーレントでサブリース。
3 X、Yに対し、フリーレント期間のマスターリース賃料がゼロ円になるのは不当であるとして賃料を請求
<判旨>
1 フリーレントはサブリース賃料の免除である。賃料連動条項がある場合、賃貸人に著しい不利益が生じない等の特段の事情がない限り、賃貸人には対抗できない。
2 本件は以下の理由により賃貸人に著しい不利益を及ぼすものではない。
(1)賃貸期間2年3ヶ月に対し、フリーレント期間3ヶ月であること
(2)本件のマスターリース賃料を平準化すると直前のマスターリース賃料の96.4%に相当すること
(3)このサブリース賃料は付近の平均月額賃料と近似すること
(4)フリーレントによらなかった結果、サブリース賃料の減額を余儀なくされることもありうること
3 本件フリーレントは賃貸人との関係で信義則に反しない。
4 本件空室補償条項は、サブリース契約が終了し、新たにサブリース契約が締結されるまでの間、賃貸人に一定の収益の確保を保証するとともに、サブリース賃料が得られないにもかかわらず、マスターリース賃料の支払い義務を賃借人に課すことにより賃借人が転借人を獲得するよう促進することを企図したものである。よって、現にサブリース契約が成立している本件において空室補償条項は適用されない。
以上
最判平成18年9月28日 判時1950-163頁
商法294条1項に基づき検査役選任を求めた場合において、検査役の選任申請時点においては総株主の議決権の100分の3以上を有していたが、後に欠くようになった場合、申請人としての適格を失い、申請は却下されるべきであるとした事例。但し、会社が当該株主の検査役選任申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事由がある場合には別論であるとのこと。
理由として考えられるものは以下のとおり。
(1)商法294条1項の文理からすれば裁判時において株式の保有要件を満たしているべきと考えるのが素直。
(2)申請後に株式を自ら譲渡した場合にもなお検査役選任申請が却下されないとするのは不当。
(3)新株発行は会社の財務行為として株主として予見可能性がある。
(4)少数株主権を保護した趣旨が没却されるような信義公平に反する特段の事由がある場合は例外的に救済することが可能。
参考 会社法制定前の商法294条第1項
「会社の業務の執行に関し不正の行為又は法令若は定款に違反する重大なる事実あることを疑ふべき事由あるときは総株主の議決権の百分の三以上を有する株主は会社の業務及財産の状況を調査せしむる為裁判所に検査役の選任を請求することを得」
知的財産高裁 平成18年11月29日 判決 判時1950-3頁
有名な和菓子「ひよ子」が「指定商品第30類「まんじゅう」で立体商標の登録を出願し、設定登録されたが、知的財産高裁において立体商標自体については全国的な周知性を獲得していないとして特許庁の審決が取り消された事例。立体商標制度は平成9年4月1日施行の改正商標法で導入されたが、登録された例としてはペコちゃん人形やカーネルサンダース人形がある。
同族会社が、各事業年度の所得金額を留保した場合、その留保金額が一定の限度額を超えるときは、通常の法人税のほかに、その超えた金額に特別税率を乗じた法人税が課税されます(法人税法67条)。しかしながら、平成19年度税制改正大綱においては、資本金1億円以下の中小特定同族会社は、留保金課税の対象から除外されることになりました。
平成19年度税制改正大綱によれば、平成19年3月31日以前に取得をした既存の減価償却資産については、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度の翌年度以降5年間で均等償却できるものとされています。そこで、月次決算を行っている企業において平成19年度中に償却可能限度額に達した場合、達した月の翌月から、償却可能限度額の均等償却が可能かが問題になりますが、減価償却費が事業年度単位に対応している以上、やはり事業年度単位で対応せざるをえないでしょう。すなわち、平成19年5月に償却可能限度額に達した場合、償却可能限度額相当の減価償却の始期は平成20年4月度からとなるものと思われます。
最判平成18年7月20日 判時1947-58
<事案>
1 Y、銀行とオンラインシステム利用契約締結
2 Yの従業員A、平成13年12月31日限り、Yを退職
3 Y、銀行に対し、平成13年12月26日、Aの退職金についてオンラインシステムにより振込送金予約(送金日は同年12月28日)。
4 Aの債権者である原告は、AのYに対する給与債権等に対し、仮差押命令の申立をなし、同月26日発令、27日、Yの守衛所に午前11時に送達。なお、同日はXの年内最終営業日であり、終業予定時刻は午後0時15分であった。
<判旨>
「取引銀行に対して先日付振込の依頼をした後にその振込みにかかる債権について仮差押命令の送達を受けた第三債務者は、振込依頼を撤回して債務者の預金口座に振込入金されるのを止めることができる限り、弁済をするかどうかについての決定権を依然として有するというべきであり、取引銀行に対して先日付振込を依頼したというだけでは、仮差押命令の弁済禁止の効力を免れることはできない。・・・上記第三債務者は、原則として、仮差押命令の送達後にされた債務者の預金口座への振込を以て仮差押債権者に対抗することはできないというべきであり、上記送達を受けた時点において、その第三債務者に人的または時間的余裕がなく、振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がある場合に限り、上記振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することができるにすぎないと解するのが相当である。」
<コメント>
本件は高裁に差し戻されたわけですが、事案の4に摘示した事実が上記「特段の事情」に該当しないとなると第三債務者としてはなかなか大変だなと思われます。
最判 平成18年9月14日 金融・商事判例 1255号28頁
<事案>
・X(上告人)、Y(被上告人、保険会社)とXの店舗内の什器備品等及び休業による損害を保険の目的として加盟店総合保険契約を締結。
・火災事故発生
・X、Yに対し保険金請求
・Y、Xの代表者による放火であり、「偶然な事故」に当たらないと主張し、保険金の支払いを拒絶。
<判旨>
・保険事故の偶発性(保険事故の発生時において保険契約者等の意思に基づかない事故であること)については請求者に主張立証責任はない。
<コメント>
なお、商法629条「損害保険契約ハ当事者ノ一方カ偶然ナル一定ノ事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ヲ填補スルコトヲ約シ相手方カ之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス 」における「偶然ナル」とは「保険契約成立時において事故の発生と不発生とが確定していないことをいうとされる。
平成16年度の年金改革により、離婚の際、厚生年金を離婚に伴う財産分与として分割することが可能となったが(平成19年4月から離婚時の厚生年金分割制度が施行される。)、その場合、原則、贈与税の課税関係は生じないものとされた。
詳しくは「相続税及び贈与税に関する質疑応答事例について(情報)」資産課税課情報第15号)参照。
<事案>
・建物の賃借人が金融機関のため、賃貸人に差し入れた敷金に質権を設定。
・その後賃借人が破産し、破産管財人と賃貸人が未払賃料を敷金に充当する旨合意。
・金融機関から貸金債権を譲り受けた債権者が破産管財人に対し、不当利得返還請求。
・破産財団は未払賃料を支払うのに十分潤沢であった。
<判例要旨>
破産者は質権の目的物たる敷金を維持する義務があり、破産管財人もそれを承継する。財団債権としての未払賃料を支払うに十分足りる破産財団がある場合、破産管財人は未払賃料を随時弁済する義務があるとして不当利得返還請求を認容した原判決を維持。
<コメント>
破産管財実務において、賃貸人と未払賃料等に敷金を充当する旨合意をすることはしばしば行われています。今後破産管財人としては財団が潤沢である場合において、敷金に質権が設定されているときには注意が必要です。