商法294条1項に基づく検査役選任にかかる持株要件を満たすべき時期

最判平成18年9月28日 判時1950-163頁

商法294条1項に基づき検査役選任を求めた場合において、検査役の選任申請時点においては総株主の議決権の100分の3以上を有していたが、後に欠くようになった場合、申請人としての適格を失い、申請は却下されるべきであるとした事例。但し、会社が当該株主の検査役選任申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事由がある場合には別論であるとのこと。

理由として考えられるものは以下のとおり。
(1)商法294条1項の文理からすれば裁判時において株式の保有要件を満たしているべきと考えるのが素直。
(2)申請後に株式を自ら譲渡した場合にもなお検査役選任申請が却下されないとするのは不当。
(3)新株発行は会社の財務行為として株主として予見可能性がある。
(4)少数株主権を保護した趣旨が没却されるような信義公平に反する特段の事由がある場合は例外的に救済することが可能。


参考 会社法制定前の商法294条第1項

「会社の業務の執行に関し不正の行為又は法令若は定款に違反する重大なる事実あることを疑ふべき事由あるときは総株主の議決権の百分の三以上を有する株主は会社の業務及財産の状況を調査せしむる為裁判所に検査役の選任を請求することを得」